文化の記憶

人の記憶

しまなみ海道は橋を渡る旅ではない ― 島の風土と焙烙焼きが教えてくれるもの

瀬戸内海に浮かぶ島々を橋で結ぶ「しまなみ海道」。多くの人は、美しい景色や日本屈指のサイクリングロードを思い浮かべるでしょう。しかし、この道の本当の魅力は、海の上を走ることだけではありません。橋が架かる以前、それぞれの島は船でしか行き来できな...
人の記憶

魅+夜話 第15話 結び ― 記憶は、店ではなく人に残る

今思えば、私はあの店の味を覚えていたわけではないのかもしれない。覚えていたのは、ラーメンでもスパゲティでもなかった。そこにいた人たちの気配だった。熊さんの声。白いシャツに短髪の姿。忙しそうに店内を歩き回る足取り。そして厨房の奥で、ふと現れる...
人の記憶

魅+夜話 第14話 熊さんの話

🐻 熊さんと、渡せなかった黒いボータイ面白いのは、その人を思い出すとき、料理の味ではなく別のものが先に浮かぶことだった。スパゲティの味ではない。体格。短い髪。よく通る声。そして、白いシャツ姿。料理よりも先に、その人の“輪郭”のようなものが記...
人の記憶

最終回 なぜ農夫の身体は美しく見えるのか――熟練者が未来を読む理由

最近は身体を鍛える人が増えた。ジムに通い、食事を管理し、自分なりの理想の身体を目指す。それ自体は良いことだと思う。健康にもつながるし、継続すること自体が簡単なことではない。だが時々、それとは別の種類の身体に目を奪われることがある。農作業の途...
AIと人間

第2部 見た目の信頼は崩壊するのか――AIと加工が変える身体のリアリティ

前回の記事では、人が見た目で判断してしまう理由について書いた。引き締まった身体や整った外見を見ると、私たちは無意識のうちに「しっかりした人なのだろう」と感じてしまう。それは偏見というより、人間が情報を素早く処理するための仕組みに近い。しかし...
人の記憶

第3部 本物らしさはどこへ向かうのか――身体・労働・信用が分離した社会で

前回の記事では、加工技術やAIによって「見た目」が以前ほど信用できなくなりつつあることについて書いた。整った身体も、美しい顔立ちも、ある程度は作ることができる。そうなると、一つの疑問が浮かんでくる。私たちはこれから、何をもって「本物」だと判...
人の記憶

第1部 なぜ人は見た目で判断してしまうのか

人は見た目で判断してはいけない。子供の頃からそう教えられてきた。しかし現実には、私たちは驚くほど簡単に見た目で人を判断している。初対面の相手を見た瞬間、「しっかりしていそうだ」「怖そうだ」「優しそうだ」そんな印象を抱くことは珍しくない。もち...
人の記憶

見た目の先にあるもの――人は何を信用しているのか ②

人は見た目で判断してはいけない。そう教えられて育ってきた。だが現実には、私たちは驚くほど見た目に影響を受けている。清潔感のある服装。姿勢の良さ。引き締まった身体。そうしたものを見ると、つい「しっかりした人なのだろう」と感じてしまう。もちろん...
人の記憶

「使う筋肉」と「見せる筋肉」――時代が変えた身体の意味 ①

昔の映画を観ていると、不思議なことに気づくことがある。決して現代のような鍛え上げられた身体ではないのに、妙な説得力があるのだ。たとえば1960年の映画『スパルタカス』で主演を務めたカーク・ダグラス。あるいは若き日のチャールズ・ブロンソン。も...
人の記憶

『運び屋』の老人が残した問い③

家族サービスより貯蓄を選ぶ時代少し考えさせられる話を聞いた。職場の同僚は、子供達との繋がりを大切にしている。休日には家族と出掛け、時には仕事を切り上げて家族との時間を優先する。親としては自然な考え方なのだろう。ところが息子達の反応は意外なも...