塀の向こう側日誌

「塀の中の医療 ― 命を支える現場」

■ はじめに刑務所というと、規律・作業・懲罰といったイメージが先に浮かびますが、その裏で静かに“命を支える”人たちがいます。それが、刑務所の中で働く医師・看護師・医療技官たちです。塀の中にも病気はあります。糖尿病、高血圧、精神疾患、感染症―...
塀の向こう側日誌

「塀の中の寒さ対策 ― 冬の刑務所と感染症との戦い」

■ はじめに外の世界では、冬になるとコートを羽織り、暖房のきいた部屋でぬくぬくと過ごせます。しかし塀の中の冬は、そうはいきません。暖房設備が限られるうえに、換気も制限されやすい――。寒さと感染症のダブルパンチに、受刑者も職員も神経をすり減ら...
塀の向こう側日誌

「夏の塀の中は灼熱地獄? ― 刑務所の中の熱中症対策」

■ はじめに真夏のニュースで「猛暑日」「熱中症警戒アラート」という言葉を聞かない日はありません。しかし、外の世界ではエアコンを自由に使える一方で、塀の中では冷房設備に制限があるという現実があります。今回は、「刑務所の夏」と「熱中症対策」とい...
塀の向こう側日誌

地震が起きたら、受刑者はどう避難する? ― 塀の中の防災対策

私たちが地震に備えるとき、真っ先に思い浮かべるのは「避難」ではないでしょうか。しかし――刑務所の中では、そう簡単にはいきません。鍵のかかった部屋、鉄格子、数百人単位の受刑者。地震が起きても、「すぐに外へ逃げる」という行動ができない空間なので...
塀の向こう側日誌

コロナ禍の刑務所生活 ― 面会制限と隔離措置の知られざる実態

外の世界で「自粛」や「リモートワーク」が叫ばれていたあの頃、塀の中の世界でも、まったく異なる形の“自粛生活”が始まっていました。感染を恐れて人との距離を取ることが求められた社会――しかし、もともと人との距離を制限された空間で暮らす人々にとっ...
塀の向こう側日誌

【塀のない刑務所】自由と緊張が同居する松山刑務所──脱獄事件が教える現実

20代の頃、叔父の大工仕事を手伝っていた時期がある。その現場は、松山刑務所のすぐ隣にあった。休憩時間になると、作業員たちの話題は決まって「この前の脱獄未遂事件」だった。刑務官の車のタイヤ4本が一晩でなくなった、というのだ。ブロックをジャッキ...
塀の向こう側日誌

銃を向ける側と、素手で挑む側――日本の警察と“現場の法”の狭間で

「法が届かぬ瞬間に、命は誰のものでもなくなる──。」ニュースの片隅に、時折「警察が発砲」「被疑者死亡」という見出しを目にすることがあります。 日本では滅多に起きないこの種の事件。法の執行が届く前に“現場で終わる”ケースは、いわば「法と生の境...
法と苦楽詩(ほうとくらし)

💴 判決より先に「お仕事の成果報酬」のご案内

判決を待つ控え室で、裁判所職員の方から数枚の書類が配られました。その中の一枚に、今回の裁判員としての“お仕事の成果報酬”が記載されています。印鑑は不要で、自分の名前を直筆でサインすればOKという、ちょっとした契約書スタイル。名前の横にサラリ...
法と苦楽詩(ほうとくらし)

第2回:冒頭手続と裁判員控え室の雑学ポイント

裁判員選考から4日ほど経過し、第2回目の手続きに入りました。この日は法廷で行われる冒頭手続がメインです。被告人の罪状や公判の進め方など、裁判員として確認する場面になります。私は集合時間を確認しきれず少々遅刻しましたが、裁判所の方は意外に柔軟...
塀の向こう側日誌

塀の向こう側日誌①刑務所と拘置所の違い、あなたは説明できますか?――“塀の向こう側”の入口で見えてくる現実

はじめにニュースで「刑務所に収監」「拘置所での面会」といった言葉を耳にすることはありますが、その違いを正確に説明できる人は意外と少ないのではないでしょうか。どちらも“塀の中”にある場所。ですが、その役割も目的も、そこで過ごす人たちの立場も、...