第8話 作ることは暮らしを作ること──私が手作りをやめられない理由

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洋裁を始めてから、私の「作る」という楽しみは少しずつ広がっていきました。

服を作り、小物を作る。

そうした経験を重ねるうちに、今度は家具や収納など、暮らしそのものにも目が向くようになります。

「ここに棚があれば便利なのに。」

「もう少し使いやすい形にできないだろうか。」

そんなことを考えるたびに、「作ってみよう」という発想が自然と浮かぶようになりました。

今では、この考え方は私の暮らしの一部になっています。

その象徴ともいえるのが、猫たちのために作ったキャットタワーや天井通路です。

市販品にも立派なものは数多くあります。

しかし、わが家には複数の猫がいます。

年齢も性格も体格もそれぞれ違い、市販品では思うように使えないことも少なくありませんでした。

それなら、猫たちの動きを見ながら、自分で作ってみよう。

そんな思いからDIYを始めました。

実際に作ってみると、猫たちは思い思いの場所でくつろぎ、走り回り、ときには昼寝をしています。

その姿を見るたびに、「作って良かった」と思います。

もちろん、完成度だけを比べれば、市販品には敵わないかもしれません。

それでも、自分の暮らしや猫たちの生活に合わせて工夫したものには、既製品とは違う満足感があります。

便利な時代になりました。

欲しいものの多くは、通販サイトを開けば簡単に手に入ります。

それでも私は、「自分で作る」という選択をやめようとは思いません。

作ることは、節約のためだけではありません。

完成品を手に入れることが目的でもありません。

試行錯誤を重ね、自分の暮らしに合った形を少しずつ見つけていく。

その時間そのものが、私にとっては何より楽しいのです。

振り返れば、すべての始まりは髪型でした。

30代半ばで薄毛を意識し、自分に似合う髪型を探し始めたこと。

そこから服装が変わり、帽子をかぶるようになり、キャピタルというブランドに出会い、洋裁を覚え、小物を作り、DIYへと広がっていきました。

一見すると、それぞれは別々の出来事に見えるかもしれません。

けれど私の中では、すべて一本の線でつながっています。

自分に合うものが見つからないなら、自分で考え、自分で作ってみる。

その積み重ねが、今の私の暮らしを形づくってきました。

人生は、思い通りにならないことのほうが多いものです。

だからこそ、自分の手で少しずつ暮らしを整え、自分らしい形を作っていく。

それが、私にとっての「ものづくり」の本当の意味なのだと思います。


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ものづくりを続けてきたことで、私は「自分に合う暮らし」を少しずつ形にしてきました。

けれど、その答えは完成ではありません。年齢を重ね、生活が変われば、自分にしっくりくるものも少しずつ変わっていきます。

次回、最終話「今の自分が一番しっくりくる──若い頃に戻るためではなく、今を生きるために」では、コロナ禍をきっかけに変わった髪型や暮らしを振り返りながら、私がたどり着いた「今の自分を受け入れる」という答えについてお話しします。

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