鈴鹿を走る営業車。軽四耐久レースの妙な親近感

人間と機械

さとのか4Kにて、『レーシングスピリット』という番組を流し見している。

三重県鈴鹿市からモータースポーツの魅力を発信している番組だが、今回紹介されていたのは、軽四自動車による4時間耐久レースである。

鈴鹿といえば、国内外の名だたるレーシングマシンが走るサーキットのイメージが強い。ところが、今回の主役は、普段の道路で見慣れた軽四自動車である。

車体を見ていると、どこかで見かけたことがあるような気がしてくる。

会社の営業車だったり、近所の買い物に使われている車だったり。中には、訪問介護の送迎車がそのままサーキットに迷い込んだのではないかと思えるような親近感さえある。

もちろん、実際にはそれぞれのチームが車を改良し、レースに臨んでいる。改造の度合いによってクラスも分かれているようで、見た目こそ身近な軽四自動車でも、中身にはそれぞれの工夫が詰まっているらしい。

一般の参加者が多いというのも、プロのレースとは違った魅力だろう。

メーカーが威信をかけて開発したマシンでもなければ、巨額の資金を投じたチームばかりでもない。自分たちの車を持ち寄り、手を加え、仲間と一緒にサーキットを走る。

そこには、速さを競う競技であると同時に、車好きの大人たちが楽しむための場所という一面もある。

面白いのは、さまざまな車が入り乱れて走る光景だ。

速い車が遅い車を追い越し、遅い車は後続に道を譲る。もちろん、実際のレースには競技上のルールがあるのだろうが、画面越しに眺めていると、どこか牧歌的な雰囲気が漂っている。

速さを競っているのに、妙にほっこりするのである。

プロのレースであれば、コンマ何秒の差を削り合い、わずかな隙を突いて順位を争う。見る側も自然と力が入る。

ところが、軽四耐久レースでは、見慣れた車が一生懸命に走っている姿そのものが面白い。

あの車も、レースが終われば普段の生活に戻るのだろうか。

営業先を回り、買い物に出かけ、時には渋滞に巻き込まれる。そんな日常の姿を想像してしまうと、サーキットを疾走する姿との落差が妙に可笑しい。

普段は制限速度を守って走っているような車が、鈴鹿のコースでは本気を出している。

いや、普段から本気を出されても困るのだが。

それにしても、4時間耐久というのもなかなかのものだ。短距離を一気に走り抜けるのとは違い、車も人間も長い時間を走り続けなければならない。速さだけではなく、車の状態やチームの連携など、いろいろな要素が絡んでくるのだろう。

そして、参加者たちはレースを終えれば、それぞれの日常へ帰っていく。

大きなスポンサーも、華やかな表彰台も、必ずしも必要ではない。自分たちの手を加えた車で、仲間と一緒に鈴鹿を走る。その時間そのものに価値があるのかもしれない。

考えてみれば、大人になると、何かを楽しむにも理由や成果を求めがちである。上達したか、得をしたか、何かの役に立ったか。

しかし、こうしたレースを見ていると、好きだからやる、面白いから参加する、それだけでも十分なのだと思えてくる。

営業車のような軽四自動車が鈴鹿を走る。

ただそれだけの光景なのに、なぜか目が離せない。

さとのか4Kを流し見していたはずが、いつの間にか、大人たちの遊び方について考えていた。

どうやら、軽四自動車にも、普段の道路だけでは収まりきらない情熱が積まれているらしい。


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