食の記憶

人の記憶

台湾の鰆と嫁年貢 ― 魚が運んでいたもの

旅チャンネルの『麺鉄』台湾編を流し見していると、屋台で鰆の唐揚げが紹介されていた。黄金色に揚がった鰆を頬張る人々の姿を見ながら、私は以前調べた「鰆の嫁年貢」という風習を思い出した。同じ鰆でありながら、こちらでは少し違った役割を持っていたから...
人の記憶

郷土料理は旅をする 〜冷や汁と伊予さつまから見えたもの〜

私の実家では、夏になると冷や汁が食卓に並んだ。すり鉢に麦味噌を入れ、軽く炒った煎り子と一緒にすり合わせる。味噌の表面に焦げ目を付けた後、刻んだミョウガやキュウリ、豆腐、じゃこ天などを加え、水でのばして仕上げる。暑さで食欲が落ちる時期でも食べ...
人の記憶

巨大なおにぎりと麦味噌の味噌汁

私の実家は兼業農家だった。そのため食卓に並ぶものも、一般家庭とは少し違っていたように思う。朝食や昼食には麦味噌の味噌汁がよく出された。具材は豆腐やワカメもあったが、松山あげだけということも珍しくなかった。県外の人から見れば、少し質素な味噌汁...
人の記憶

「大根役者」と「ハム役者」を煮込んでみたら

深夜食堂に出てきそうな創作料理『役者バカ』言葉遊びから料理が生まれることがあります。「大根役者」という言葉があります。 演技が下手な役者を少し皮肉っぽく表現する、日本では昔からある言い回しです。一方、海外では似たような意味で「ハム役者(ha...
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人と移動 ― 何かが起こる気がしていた夜

― 移動は偶然との出会いを生む ―学生時代、大学とアルバイトの往復に少し疲れていた時期があった。特別に嫌なことがあったわけではない。ただ毎日が同じように過ぎていき、どこか息苦しさのようなものを感じていた。そんなある夜、友人と車に乗って出かけ...