観察記

観察記

石油が高くなって、ようやく気づいたこと

最近、給油のたびに一瞬だけ手が止まる。「こんなに高かったか?」と、レシートを見て軽く息を吐く。以前なら気にも留めなかったはずの金額が、妙に現実味を帯びて迫ってくる。石油が高い。ただそれだけの話のはずなのに、どこか生活そのものを見透かされてい...
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SNSという名の決闘裁判——『最後の決闘裁判』が映し出す現代の構造

リドリー・スコット監督の映画『最後の決闘裁判』を流し見していると、不思議と画面の中だけの話には思えなくなった。舞台は中世フランス。ある女性が受けた被害を巡り、証明の難しい問題に対して最終的な判断が「決闘」に委ねられる。勝てば正義。負ければ嘘...
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「作れるのに作らない国」で、私たちは何を選んでいるのか

結局のところ、資源の話をしているようで、人間の話をしていた。資源がない国だと、ずっと思っていた。石油も出ない。天然ガスも乏しい。だから海外から買うしかない。そういう話で納得していたが、調べてみると少し違う。日本の周辺には天然ガスの可能性があ...
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キャットタワーは誰のものか——ミーガンが占領した夜

映画の M3GAN を流し見していて、妙に引っかかった場面がある。人型ロボットであるはずの彼女が、攻撃に転じた途端、四つ足で床を這うように迫ってくるあの動きだ。人間の形をしていたはずのものが、突然「人間であること」をやめる。あの違和感は、た...
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春来る鬼

春らしい気候になって来た。石手川公園の桜も、ちらほらと開花している木が見える。昼間の気温はすでに高く、春先というよりは、どこか初夏の気配すら混じっている。季節は余韻を残すことなく、次へと進もうとしているようだ。すでに夜桜用の提灯型の電球が張...
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空を走る車はなぜ現実にならないのか

夜中に映画を流し見していると、現実の輪郭が少しだけ緩む。物語を追いかけているつもりが、ふと意識が逸れて、別のことを考え始める。画面の中では何かが起きているのに、頭の中では別の風景が動き出す。そんな曖昧な時間の中で、空を滑るように走る車が視界...
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自由に憧れる人間と、翼を持たない猫の話

人はなぜ、空を欲しがるのだろうか。地面には道がある。信号があり、順番があり、渋滞がある。それらすべてを飛び越えて、どこへでも行ける存在。その象徴として、映画や物語の中では何度も「飛ぶもの」が描かれてきた。その姿は、どこか理想的に見える。自由...
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猫跨ぎにもならない朝

夜勤明けの明け方、職場での些細な啀み合いを持ち帰った。胸の奥に、不完全燃焼のような鬱憤が残っている。本来なら、そのまま一日を台無しにするには十分な量だ。人間同士なら、ここからさらにこじらせることもできる。だが帰宅してみると、その前提が少し揺...
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夜の巡回者 — 見えない秩序を歩く三毛の月

夜更けになると、我が家の空気はゆっくりと形を変える。つい先ほどまで、ただの三毛猫だった月が、静かに起き上がる。そして、何事もなかったかのように巡回を始める。決まったルートを辿り、足音を立てずに部屋を横切り、見えない境界線をなぞるように、ゆっ...
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湯気の向こう側

月丸は、もうコタツの中にいる。宴は終わり、誰も振り返らないまま夜は閉じた。私はチャイを淹れる。アルコールではなく、水でもなく、少しだけ香りと熱を持ったもの。カップから立ち上る湯気の向こうで、さっきまでの気配がぼんやりと揺れる。だが、それも長...