シティを買ったのに、モトコンポが付いてこなかった

人間と機械

ホンダ・シティといえば、モトコンポを思い出す人もいるだろう。

シティの荷室に積めるように作られた、折り畳み式の小さな原付である。

車とバイクを組み合わせて使うという発想は、なかなか面白い。

ただ、私が中古のシティを買ったときには、そんなものは付いていなかった。

そもそも私は、モトコンポの存在をそれほど意識していなかった。

中古車を買った相手は、近所の年配の爺さんだった。

今になって考えると、

「あの爺さん、モトコンポを別ルートで売ったんじゃないか?」

という疑いが出てくる。

もちろん、確かなことは分からない。

ただ、シティにモトコンポという組み合わせを知ってしまうと、

「そういえば、あのシティにモトコンポはなかったな」

と思うのである。

もしかすると爺さん、

「車は車で売る」

「バイクはバイクで売る」

と、ちゃっかり別々の商売にしていたのかもしれない。

もしそうなら、なかなかの商売人である。

シティを買った私は、シティだけを受け取った。

モトコンポのほうは、どこか別の家へ転職していったのかもしれない。

そう考えると、あの小さなバイクが今頃どこで何をしているのか、少し気になる。

もっとも、もし手元にあったとしても、燃料タンクが小さすぎるモトコンポを私が実用車として使ったかどうかは怪しい。

結局、

「付いてこなくて正解だったのかもしれない」

という気もする。

車は扱いづらい。

その車に積むバイクも小さすぎる。

それでも当時は、それが洒落たアイデアとして売り出されていた。

今になって振り返れば、ホンダ・シティという車は、私にとって「名車」というより、

「なかなか味のある迷車」

だったのだと思う。

そして、そのシティを売ってくれた爺さんもまた、なかなか味のある人物だった。

モトコンポの行方だけは、いまだに謎のままである。


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