追悼・大納言様。短い生涯に残したもの

文明と野生

我が家で誕生したウコッケイの雛、旭豆大福。

正式名称は「旭豆大福」だったらしいが、周囲からは豆五郎、旭豆などと呼ばれ、私に至ってはテレビの『まるごと北海道』を流し見していた際、間違えて「大納言」と呼んでしまった。

以来、私の中では大納言様である。

生まれた当初は毛も乾いておらず、地肌はグレー色。想像していたふわふわの可愛らしい雛とは少々違っていた。

どうやらウコッケイとチャボのハイブリッドらしく、白一色ではないまだら模様に、虎毛のようなラインが入っていた。

同居人は、その珍しい姿を見ては元気な証拠だと熱心に説明していた。

一方の私は、品種の違いも血統もよく分からない。ただ、元気に育ってくれればそれでいいと思っていた。

しかし、大納言様には少し気掛かりなことがあった。

脚がうまく動かないのである。

そこで同居人は、足湯に脚を浸してマッサージを施すという療養を始めた。

その姿を見て、私は道後温泉の白鷺伝説を思い出した。

傷ついた白鷺が湯に脚を浸して傷を癒やしたという、あの話である。

道後の白鷺にあやかって、大納言様にも回復してほしいという気持ちがあったのかもしれない。

もっとも、こちらは温泉旅館ではなく家庭内の療養施設である。白鷺伝説のようにうまくいくとは限らない。

そして、大納言様は短い生涯を終えることになった。

同居人は悲しんでいた。

卵を温め、暖房器具を用意し、猫が入らないように扉を養生テープで固定する。仕事のある日も夜遅くまで世話をしていたのだから、思い入れもあったのだろう。

二十個ほどの卵を孵そうとした今回の試みも、決して順調ではなかった。半分ほどは孵らず、チャボの卵も結局すべて孵化しなかった。

それでも、ようやく誕生した一羽だった。

カキPに続く新たな仲間として、豆大福という名前を与えられ、いつの間にか大納言様という立派な呼び名まで手に入れた。

短い生涯ではあったが、なかなか賑やかな時間を過ごしたのではないだろうか。

もっとも、本人にその自覚があったかどうかは分からない。

そして、ここで話が終わるのかと思いきや、同居人はまだ懲りていない。

悲しみに暮れていたかと思えば、今度はお取り寄せ卵を次々と購入し、新たな繁殖実験を始めている。

どうやら大納言様の死をもって、卵の研究が終了するわけではないらしい。

人間というのは不思議なもので、一度うまくいかなかったことでも、次は何とかなるのではないかと考える。

その根気が新しい命を生むこともあれば、また別の悲しい結果を招くこともある。

私自身は、これ以上卵が増えても困るというのが正直なところだ。

卵を断っていた同居人も、そろそろ焼き飯を食べたい頃ではないだろうか。

大納言様。

短い生涯ではありましたが、我が家に話題を提供してくれてありがとう。

カキPに続く、我が家の小さな住人として、その名前はしばらく記憶に残ることだろう。

どうか安らかに。

そして、できることなら、次の卵たちには無事に殻を破ってもらいたい。

ただし、これ以上名前が増えると、私の記憶力が追いつかなくなる。

大納言様、どうぞ安らかに。


次の記事

コメント

タイトルとURLをコピーしました