プロレスを見ていると、どうしてもリングの上に目が向く。
チャンピオンを目指すレスラーたちの攻防や、試合の流れを読みながら観戦するのは実に面白い。私自身も、プロレスの魅力は結果よりも過程にあると思っている。
しかし最近、その過程はリングの上だけではないのではないかと考えるようになった。
試合前のリング上では、レスラーとともに関係者らしき人々が記念撮影をしていることがある。
最初はスポンサーか後援会の人たちだろうと思っていた。しかし地方興行について調べてみると、プロレスというものはレスラーだけで成立しているわけではないことが見えてくる。
会場を確保する人がいる。
協賛企業を集める人がいる。
ポスターを配る人がいる。
チケット販売に協力する人がいる。
そして大会当日の設営や撤収を行う人たちもいる。
観客は試合開始の時間に会場へ足を運ぶだけだが、その舞台が完成するまでには、多くの人々の働きが積み重なっている。
そんなことを考えていると、以前テレビで見た蝶野正洋さんの言葉を思い出した。
子供たちに仕事について語る授業の中で、蝶野さんはこう話していた。
「どんな仕事にもトップがいる。トップが頂点に立つ。しかし一番大事なのは屋台骨と呼ばれる下の人たちなんだ」
当時はプロレス団体の組織論の話だと思っていた。
しかし地域のイベントや祭り、そして地方のプロレス興行を見ていると、その言葉の意味が少しずつ理解できるようになった。
私たちは主役ばかりを見てしまう。
プロレスならチャンピオン。
祭りなら神輿を担ぐ人。
イベントならステージの出演者。
しかし、その舞台を支える人がいなければ、そもそも主役が活躍する場所そのものが存在しない。
最近では地方にも地域密着型のプロレス団体が増えている。
私の住む松山市にも愛媛プロレスがある。
リングの上で戦うレスラーたちの姿はもちろん魅力的だが、その裏では地域の企業や支援者、スタッフ、協力者たちが大会を支えているはずだ。
考えてみれば、これは私がこれまで見てきた地域イベントや実行委員会の活動ともよく似ている。
目立つのはいつも表舞台だ。
しかし本当に組織を支えているのは、蝶野さんの言う「屋台骨」の人たちなのかもしれない。
プロレスの面白さは試合の過程にある。
そして興行の面白さもまた、リングの上に至るまでの過程にある。
そう考えると、試合前にリングへ上がる関係者の姿も、これまでとは少し違って見えてくるのである。
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