魅+夜話 第5話 熊さんとの最初の出会い

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あの頃の豚太郎には、一人の店長がいた。

がっしりとした体格に、短く刈り込まれた髪。

店の中を忙しく動き回りながらも、不思議と慌ただしさを感じさせない人だった。

よく通る声も印象に残っている。

子どもだった私は、その人の名前を知らなかった。

ただ、「あの店には、あのおじさんがいる」ということだけは、なぜか安心して覚えていた。

今になって思えば、店の雰囲気は料理だけで作られるものではない。

厨房に立つ人。

注文を取る人。

笑顔で迎えてくれる人。

そうした一人ひとりが、その店の空気を作っている。

私は後になって、その店長を勝手に「熊さん」と呼ぶようになった。

強そうな体格なのに、どこか親しみやすい。

そんな姿が、町中華という場所によく似合っていたからである。

当時は、この出会いが何十年も私の記憶に残り、しかも別の店で再び会うことになるとは思ってもいなかった。

それは、もう少し先の話である。

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