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迂回路にて。

午前中、親父の工具の下見をするため、土手沿いの道を車で走らせていた。前方にはレスキュー車とパトカーが並び、片道を完全に塞いでいる。「これは、たぶん事故だな……」そう思い、脇道へそれることにした。入り込んだのは、狭い路地裏の道だった。そこは、...
食と記憶

湯割りの夜

昨夜から寒気が流れているようだ。夜勤明けでも肌寒く、帰宅の途につくまでジャンパーの中のナイロン素材のベストを脱ぐことはなかった。家に着くと早めに湯を身体に流し、早々に浴室を出る。ここでも家着はヤッケだ。軽くて温かく、寝間着として使っている。...
猫の記録

トンネル

午後から交通量が多くなる私の布団。体の両側、足元、胸付近と様々な通り道がある。一次停止も駐車も可能。甘えん坊の車が、行きがけの駄賃に首輪を置いていった。私のトンネルは何時でも無料。通行料金はありませんよ。
猫の記録

猫のエチケット(続)

夜勤明けの昼ごろ、胸に座り込まれる感覚で意識が浮上した。ヒゲらしきものが、鼻息と同時に口元へ触れてくる。離れない。執拗だ。気になって目を開けると、チャラ男がまん丸の目で匂いを嗅ぎ続けていた。退く気配はない。今回は口臭セーフ、らしい。少なくと...
観察記

雨の夜に出会った、ひっそりとした地蔵様

雨の夜、皆さんは普段通る道でどんなものに気づくでしょうか。先週末、洋裁教室の忘年会を終えて帰る途中、雨が次第に激しくなり、歩いて帰る予定を変更して家族に迎えをお願いすることになりました。その待ち時間、歩道橋の下で雨宿りをしていると、普段は目...
猫の記録

猫社会と人間社会のあいだにある境界線

前日の宴とは打って変わり、その翌日は全員で盛り上がるという空気はすっかり姿を消していました。猫たちは思い思いの距離感を保ち、それぞれの時間に戻っていきます。猫社会には、弱い立場の者に対して同情や施しを与えないという、冷徹とも思える掟があるよ...
観察記

静かな場所の使われ方

静かな場所を好む。以前通っていた陶芸教室では、土よりも言葉のほうがよく動いていた。年明けに入った古民家の喫茶店でも、似た空気があった。精算時、「同じチェーン店でも同じものが出ますよ」と穏やかに言われた。静けさは、その言葉と一緒に少し遠くへ移...
食と記憶

冬瓜のスープ

冬瓜の話である。この時期になると、なぜか毎年のように思い出してしまう。初めて口にしたのは、もう数十年前のことだった。当時、よく一人で出向いていた喫茶店があった。近場とは言い難い、少し距離のある場所にある店だったが、妙に居心地がよく、気が向く...
猫の記録

はんてんの袖の下

年末が近づくにつれ、寒気は容赦なく厳しさを増してくる。こうなると就寝時の冷え込みも尋常ではなく、布団だけではどうしても守り切れない部分が出てくる。そんなときに頼りになるのが、はんてんだ。私にとっては「歩く布団」をまとっているような感覚で、寝...
猫の記録

正義の見方

年明け早々、同居人はペットショップに出向き、猫用の首輪をいくつか揃えて意気揚々と我が家に戻ってきました。実際に着けてみないと気が済まない性格ですので、帰宅するなり猫たちに試着――いや、首への装着を試みます。特に月丸と天、この女子メンバーに対...