猫の記録

猫の記録

忙しさの間に割り込むもの

只今、下の階では同居人が以前スーパーでもらった珍味盛り合わせの個数を半分に減らそうと、お好み焼きに混ぜ込む準備をしている。それを見定める監視役としてグルマンの天が同居人の肩で凝視しているが、そばにいる親父に降ろされながら、上がったり降りたり...
猫の記録

ふさふさのカイロ

猫が胡座をかいた膝に乗るとき、決まって自分の腹に腕を巻き込んでくる。なぜそうするのかは分からないが、この時期には有難い。ふさふさ感のカイロで手を温めているような心地よさがある。仕事帰りはいつも手がかじかみ、心なしか気分まで固くなる。それでも...
猫の記録

嘆きの唄

下の階にて、悲しい様相を醸した鳴き声が響き渡っている。声の主は、巨漢で大食いの「のの」だ。同居人が焼いていた珍味盛り合わせのお好み焼きが、自分の腹に収まるものだと思い込んでいたらしい。食い物の恨みは深いというが、それをとてもよく描写した歌声...
猫の記録

トンネル

午後から交通量が多くなる私の布団。体の両側、足元、胸付近と様々な通り道がある。一次停止も駐車も可能。甘えん坊の車が、行きがけの駄賃に首輪を置いていった。私のトンネルは何時でも無料。通行料金はありませんよ。
猫の記録

猫のエチケット(続)

夜勤明けの昼ごろ、胸に座り込まれる感覚で意識が浮上した。ヒゲらしきものが、鼻息と同時に口元へ触れてくる。離れない。執拗だ。気になって目を開けると、チャラ男がまん丸の目で匂いを嗅ぎ続けていた。退く気配はない。今回は口臭セーフ、らしい。少なくと...
猫の記録

猫社会と人間社会のあいだにある境界線

前日の宴とは打って変わり、その翌日は全員で盛り上がるという空気はすっかり姿を消していました。猫たちは思い思いの距離感を保ち、それぞれの時間に戻っていきます。猫社会には、弱い立場の者に対して同情や施しを与えないという、冷徹とも思える掟があるよ...
猫の記録

はんてんの袖の下

年末が近づくにつれ、寒気は容赦なく厳しさを増してくる。こうなると就寝時の冷え込みも尋常ではなく、布団だけではどうしても守り切れない部分が出てくる。そんなときに頼りになるのが、はんてんだ。私にとっては「歩く布団」をまとっているような感覚で、寝...
猫の記録

正義の見方

年明け早々、同居人はペットショップに出向き、猫用の首輪をいくつか揃えて意気揚々と我が家に戻ってきました。実際に着けてみないと気が済まない性格ですので、帰宅するなり猫たちに試着――いや、首への装着を試みます。特に月丸と天、この女子メンバーに対...
猫の記録

軽い拘束

帰宅後、身支度を済ませ、作業服を洗濯機に放り込んだ。その間に少しだけ、と思って横になったのだが、どうやらそのまま眠ってしまったらしい。目を覚ますと、私は猫に取り囲まれていた。胸の上に乗る者、髪をはむはむと噛む者、足のあいだに潜り込む者。両腕...
猫の記録

ホロホース

眠っている私の布団を、やたら強く爪で引っ掻いてくる存在がいる。目覚まし時計ほどの使命感もないくせに、動きだけは無駄に必死だ。煩わしいので膝を立てると、するりと中へ入ってくる。だが膝を伸ばすと、「話が違う」とでも言いたげに、また出て行ってしま...