2026-01

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匂いに選ばれる夜

――都市の境界を読む「今夜は仕事疲れがあると思うから、もしかしたら豚太郎かも……」同居人が下の階から上がって来て、そんなことを言いました。それを聞いた私は、「うーん……」と、しばし考え込みます。寒気はそれており、日中はそれなりに温かい。しか...
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ふさふさのカイロ

猫が胡座をかいた膝に乗るとき、決まって自分の腹に腕を巻き込んでくる。なぜそうするのかは分からないが、この時期には有難い。ふさふさ感のカイロで手を温めているような心地よさがある。仕事帰りはいつも手がかじかみ、心なしか気分まで固くなる。それでも...
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嘆きの唄

下の階にて、悲しい様相を醸した鳴き声が響き渡っている。声の主は、巨漢で大食いの「のの」だ。同居人が焼いていた珍味盛り合わせのお好み焼きが、自分の腹に収まるものだと思い込んでいたらしい。食い物の恨みは深いというが、それをとてもよく描写した歌声...
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焼きそばメモリー

――都市の境界を読む最近の焼きそばというのは進化しているなあ……などと、時代錯誤な郷愁に浸ることがあります。普段は料理などほとんどしない私ですが、なぜか焼きそばだけは自分で作ることがあります。手順は簡単です。カット野菜をフライパンに敷き詰め...
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迂回路にて。

午前中、親父の工具の下見をするため、土手沿いの道を車で走らせていた。前方にはレスキュー車とパトカーが並び、片道を完全に塞いでいる。「これは、たぶん事故だな……」そう思い、脇道へそれることにした。入り込んだのは、狭い路地裏の道だった。そこは、...
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湯割りの夜

昨夜から寒気が流れているようだ。夜勤明けでも肌寒く、帰宅の途につくまでジャンパーの中のナイロン素材のベストを脱ぐことはなかった。家に着くと早めに湯を身体に流し、早々に浴室を出る。ここでも家着はヤッケだ。軽くて温かく、寝間着として使っている。...
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トンネル

午後から交通量が多くなる私の布団。体の両側、足元、胸付近と様々な通り道がある。一次停止も駐車も可能。甘えん坊の車が、行きがけの駄賃に首輪を置いていった。私のトンネルは何時でも無料。通行料金はありませんよ。
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猫のエチケット(続)

夜勤明けの昼ごろ、胸に座り込まれる感覚で意識が浮上した。ヒゲらしきものが、鼻息と同時に口元へ触れてくる。離れない。執拗だ。気になって目を開けると、チャラ男がまん丸の目で匂いを嗅ぎ続けていた。退く気配はない。今回は口臭セーフ、らしい。少なくと...
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雨の夜に出会った、ひっそりとした地蔵様

雨の夜、皆さんは普段通る道でどんなものに気づくでしょうか。先週末、洋裁教室の忘年会を終えて帰る途中、雨が次第に激しくなり、歩いて帰る予定を変更して家族に迎えをお願いすることになりました。その待ち時間、歩道橋の下で雨宿りをしていると、普段は目...
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猫社会と人間社会のあいだにある境界線

前日の宴とは打って変わり、その翌日は全員で盛り上がるという空気はすっかり姿を消していました。猫たちは思い思いの距離感を保ち、それぞれの時間に戻っていきます。猫社会には、弱い立場の者に対して同情や施しを与えないという、冷徹とも思える掟があるよ...