魅+夜話 第13話 🍜 豚と勇次郎(リライト版)

その他の雑記

「また豚かよ」と思いながら、それでも足が向いてしまう店がある。

それが、愛媛県民にはおなじみのラーメンチェーン「豚太郎」である。

県外の人にはただのローカルチェーンに見えるかもしれないが、地元民にとっては少し事情が違う。

この店には不思議な“縄張り”があるのだ。

たとえば、叔父夫婦は来住町店しか行かない。弟家族は松前町店一択。そして私は伊予店以外を認めていない。

同じ「豚太郎」でありながら、なぜかそれぞれが“自分の店”を持っている。

これはもはやラーメン屋というより、個人の記憶に紐づいた“生活圏の聖域”に近い。


🧂 やめられない豚

普段の私は、どちらかといえば慎ましい食生活をしている。

脂っこいものは控え、健康診断の数値を気にする、ごく普通の生活者だ。

それでも年に数回、いや、気がつけば月に一度くらいの頻度で「豚」が恋しくなる瞬間がやってくる。

そしてそのたびに、私は吸い込まれるように暖簾をくぐる。

問題はその後だ。

健康診断の結果に「要再検査」の文字が並ぶ。

そして病院へ行き、また数値を確認し、少し反省し、また豚太郎へ戻る。

——このループから、なぜか抜け出せない。

もはやこれは食生活ではなく、“人生の循環構造”になっている。


🧬 範馬勇次郎という謎の説得力

そんなとき、なぜか思い出してしまう人物がいる。

それが『グラップラー刃牙』に登場する範馬勇次郎だ。

彼はこういう理屈を平然と口にする。

「自然食品と人工物、両方を摂取することで人間は完成する」

普通なら笑い飛ばすところだが、不思議と心に引っかかるものがある。

結局のところ、人間の体なんて誰にも完全には分からない。

であれば、「食べたいものを食べる」という直感の方が、むしろ自然なのではないか——そんな気すらしてくる。


🐖 豚 vs 勇次郎

もし「豚」と「範馬勇次郎」が戦ったらどうなるのか。

まともに考えれば勝負になるはずもない。

だが結論はひとつだ。

たぶん最後は、勇次郎がこう言う。

「いい豚だ……俺が食う」

そして終わる。

勝ち負けの問題ではないのだ。


🍥 結び

健康とは何だろうか。

数値が正常であることか、脂質が低いことか。

それとも、もっと単純に——

「うまかった」と思える時間を持てることなのか。

そう考えると、今日もまた一杯の豚太郎に吸い寄せられてしまう自分を、完全には否定できない。

それはもはや嗜好ではなく、ひとつの生活習慣であり、記憶の延長なのだ。


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