昨夜から寒気が流れているようだ。
夜勤明けでも肌寒く、帰宅の途につくまでジャンパーの中のナイロン素材のベストを脱ぐことはなかった。
家に着くと早めに湯を身体に流し、早々に浴室を出る。
ここでも家着はヤッケだ。軽くて温かく、寝間着として使っている。
湯冷めする前に体の中から温めようと、電気ポットで湯を沸かす。
酒で湯割りを作るつもりだったが、焼酎を切らしていた。代わりになるものはないかと棚を探っていると、ダークラムの小瓶を見つけた。
木製のコップに少し多めに注ぎ、湯で割る。
ラム酒独特の香りが立ちのぼり、鼻腔を刺激する。
少しずつ口に含んでいるうちに、体温がじわりと上がってきた。
頭の輪郭がぼやけ、面持ちも緩んでいく。
この酒を飲むと思い出すことがある。
体が温まると、決まって同じ記憶に触れてしまう。
苦学生だった頃、従兄弟の研究室に忍び込み、彼が来るのを待っていた。
資料を抱えた背の高い男性が部屋に入ってきた。二日前からこの部屋に籠もり、資料まとめの作業を続けているのだという。
私も暇だったので、夕飯を一緒にどうかと尋ねると、快く受け入れてくれた。
二人で町中まで歩いた。
軽く食事で終わる予定だったはずが、なぜか酒を飲む流れになり、私たちはBARに入った。
秋の終わり頃で、夜は少し肌寒かった。私は「グロッグ」を注文した。
ビールを飲んでいた彼には珍しい飲み物に見えたようで、二杯目からは同じものを頼んでいた。
酒を飲み始めると、なぜか時間や財布のことを忘れがちになる。
ほろ酔い気分で夢心地だった翌朝、現実味を思い知らされることになる。
その結果、バイトにさらに拍車が掛かった。
湯割りの夜
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