座椅子の性(さが)

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我が家の食卓はテーブルではなく座卓である。
黒みがかった朱色の、四角い古い座卓だ。ぐらつくこともなく、いつの間にか食卓の位置に収まっている。
私たちは胡座をかいたり正座をして座るのが常だが、親父が来た時だけ事情が変わる。
そのとき座椅子が、当然のように親父の専有物になる。
その座椅子は、もともとは骨組みが布地から透けて見える、いささか心許ない作りのものだった。
だが、猫という媒介が加わったことで状況は一変する。布地は無惨に引き裂かれ、その度に同居人が布を足していった。結果として、座椅子としての機能は次第に失われていった。
やがてそれは座卓の下に敷かれ、猫のベッドとして使われるようになった。
役目を終えた、というよりも、役目が変わったのだと思う。
最近、親父はまた安上がりで軽量な座椅子を購入してきた。
今度は何年持つのか。
そんなことを考えながら、今日も座卓を囲んで過ごしている私がいる。

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