月丸は、もうコタツの中にいる。
宴は終わり、誰も振り返らないまま夜は閉じた。
私はチャイを淹れる。
アルコールではなく、水でもなく、少しだけ香りと熱を持ったもの。
カップから立ち上る湯気の向こうで、さっきまでの気配がぼんやりと揺れる。
だが、それも長くは続かない。
猫はすでに眠りに戻り、夜は役目を終えている。
それでも人間だけが、わずかに遅れて、余韻を処理している。
一口飲むごとに、思考は薄まり、
やがて何もなかったように、こちらも静けさへ沈んでいく。
宴のあとに残るものは、記憶ではなく温度なのかもしれない。
湯気の向こう側
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