夜更けの残り香

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夜中の3時過ぎ、トイレに立ったついでに階段へ目をやると、月丸が上段に座っていた。
あれほどまでに騒がしかった気配は、すでにどこにもない。家の中は、拍子抜けするほど静まり返っている。
ほんの2〜3時間前までは、あの一帯が運動場だったはずだ。
足音と気配が入り乱れ、意味のない追走劇が延々と繰り返されていた。
だが、その余興も終わったらしい。
視線に気づいたのか、月丸は音も立てずに立ち上がり、ゆっくりと2階へ向かう。
迷いのない足取りで、コタツの中へと消えていく。
騒ぎの後に残るのは、決まってこういう時間だ。
誰もいない空間に、さっきまでの熱だけが取り残されている。
「踊り疲れたディスコの帰り~♪」
そんなフレーズが、不意に頭をよぎる。
猫たちにも、確かに“宴”がある。
だが、それが終われば、驚くほどあっさりと日常へ戻っていく。
引きずらない。語らない。振り返らない。
ただ、温かい場所へ帰るだけだ。
人間なら、こうはいかない。
終わったはずの夜に意味を探し、余韻を引き延ばし、時には後悔まで持ち帰る。
その点、月丸は潔い。
階段の上で一度だけ立ち止まり、何もなかったように、コタツへ潜り込んでいった。
宴のあとを片付けるのは、いつも無言の存在だ。
そして人間だけが、終わったはずの夜に未練を残す。

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