
被告人の人物像と、崩れていった生活の輪郭
日本にやって来て、わずか半年足らずでこれほどの凶悪犯罪を起こした被告人。
彼は職場での人間関係にも馴染めず、会社から支給された社員寮の使い方さえ十分に理解しないまま、他人に依存する生き方を続けていました。
自ら考え、行動する姿勢はほとんど見られず、世渡りも他人任せ。
さらに、自分を守るための嘘を幾重にも重ねる人生観には、どこか哀れさすら漂っています。
人は困難に出会ったとき、解決策を探しながら試行錯誤し、その経験の積み重ねによって成長していくものです。
しかし、そのプロセスを経ていない人間には、どこか薄っぺらさというか、言葉にできない「何かが足りない」印象を受けるのは私だけでしょうか。

判決内容と、法の下に示された“結果”
今回の裁判では、殺人未遂罪として起訴され、懲役刑が言い渡されました。
被告人には300日を超える未決拘留期間があり、これは刑期の一部として算入されます。
したがって、実際の服役期間はさらに短縮されることになります。
これから彼は、判決文の内容に従い、実刑という現実の道を進むことになります。
職場ですら半年ほどで根を上げた彼に、厳格な規律と単調な日課が続く刑務所生活に耐えうる根性や覚悟が備わっているのかは、正直なところ疑わしいところです。
しかし、法のもとに下された判決は、彼自身の歩んできた道の“結果”であり、その代償はしっかりと払っていかねばなりません。

刑務所という「もう一つの社会」
皮肉なことに、日本の刑務所生活は海外と比べても厳格で知られています。
これまで人に依存しながら生きてきた彼にとって、この環境はこれまでの甘さを見直すきっかけになるかもしれません。
半年で会社を去った彼が、今度は何年にも及ぶ“規律の世界”で何を学ぶのか──。
それは、もはや彼自身に委ねられた課題です。
判決の日、そして補充裁判員としての視点
そして、来週の月曜日午後3時。
法廷にて判決文が言い渡される瞬間を、私は補充裁判員1とともに傍聴席から見届ける予定です。
評議を共にした「補充組」として、最後の場面まで自分たちの目でしっかりと見届け、この一件に幕を引くつもりです。
今回の裁判員裁判は、私にとって非常に濃い時間でした。
制度の一端に関わることで見えてきた現実や人間模様は、日常生活ではなかなか得られない貴重な体験です。
もしまた機会があれば、ぜひ再び参加してみたいと思っています。
今度は裁判員1~6のうちのいずれかが希望ですが、補充裁判員1という“振り出し”に戻ってみるのも、私的には悪くない選択だと感じています。



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